染料インクの特徴
染料インクとは、水を媒体に溶解する染料を色材として使うインクの事です。
染料には、直接、酸性、塩基性の染料があり、使用される用途によって使い分けられます。
特徴としては発色性や光沢性に優れておりポスターなどを印刷した際の写真画質が優れています。
しかし、耐水性、耐光性、耐ガス性などの保存性が脆弱という課題も抱えており、これは染料がインク溶媒に溶解しており、分子またはクラスター状である事が原因です。
基本的には発色性と保存性の両立は難しいとされていますが、近年では、顔料インクには及びませんが、研究が進んでおり弱点であった耐光性や耐ガス性に優れた物も開発されてきています。
大まかな特徴としては用紙に染み込んで定着するインクです。
昔から目にする物としては油絵等に使われる物が顔料、食紅などの水に溶ける物が染料。
顔料はメディアに単体で付着する事が出来ないので、オイルやタンパク質で表面に固定します。
染料はそれ自体がメディアに染み込んで定着しますが、水に溶ける性質があるので、濡れるとにじんでしまいます。
使用される染料
染料インクで使われる染料は数多くの課題があります、まず発色性に優れている事、印刷後の保存性が長期にわたって保てる事などです。またメディアに印刷された後の安定も重要になってきます。
様々な研究がなされており大きく色に分けて印刷の4原色、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタによって使われる染料も異なってきます。
ブラック染料
当初はモノクロ印刷用として開発された経緯があります。
アゾ染料を使った物が多く使われており、銀塩写真のような鮮やかなトーンカーブを実現させるために調色に使った染料がバランス良く退色する様に作られています。
イエロー染料
ブラックと同様でアゾ染料が多く使われています。耐ガス性には優れていますが、耐光性に関しては他の色に対して脆弱という欠点があります。
シアン染料
主に銅フタロシアニンが使われており耐光性には優れていますが耐ガス性に弱いという特徴があります。
またシアン染料として銅フタロシアニン以外の信頼性が高い物はまだ開発されていないのが現状です。
マゼンタ染料
マゼンタには様々な染料が利用されています。アゾ、キサンテン、アントラピリドン染料などの物があります、分子が小さいという特徴があり、耐光性、耐ガス性に課題がありますが、最近の物ではかなり改良されています。
染料インクの長所と欠点
染料インクはポスター等を印刷した際の写真の再現性を重視して開発されてきました。最大の長所は発色性で最近では銀塩写真に迫る再現性の高い物も多いです。
また欠点としては、専用に開発された用紙に印刷した場合は課題であった耐水性、耐湿性は実用的には問題のないレベルですが、普通紙等を使用した場合はフェザリングなどの問題を抱えているのも事実です。
また乾燥のスピードにも問題があり、十分に水分を乾燥させずにポスターを重ねたりすると水分がメディアに残ってしまい、変色やにじみの原因になる事もあります。
関連ページ
・顔料インクの説明